2019年03月
2019年03月19日
web小説(ファンタジー)ピースロードは果てしなく~第一章 秘密の部隊へ②~
そして、この部屋にいた若き女王ラギ・ヴィレット・2世が堂々とした佇まいでツゥーサを真っすぐと見つめていた。
金の瞳……その瞳に吸い寄せられるようにツゥーサは一歩ずつ歩を進める。
カーペットを踏むごとに心臓の鼓動が速くなり、やけに落ち着かないのを自覚しながらも、表情だけは何とか冷静さを保ちつつ、ラギの目の前まで歩いたツゥーサは、片ひざを折り、頭を下げる。
だが、そんな彼にラギは
「ツゥーサ、そんな堅苦しいことはしないで結構です。そうですね、仲の良い友達くらい気軽に接してもらおうかしら」と言った。
一瞬、何を言われたのか全く意味が分からなかった。
大国フェリームにおいて歴史初の女王であるラギは、民衆にとって憧れであり、誰もが簡単に会える存在ではない。
そのラギが友達のように接しろと言ったのである。ツゥーサとして驚きと戸惑いで頭がいっぱいになり、咄嗟にどう反応をしたら良いのか分からなくなった。
「フフフ、そんなに驚かないで。私です。覚えていない?ずっと前にあなたに助けてもらった女の子ですよ」
「?」
ツゥーサが覚えているのは、一年前にラギが行った演説くらいのもので、助けた記憶など皆無だった。
「あの……ラギ女王陛下。申し訳ございませんが、記憶にありません。誰かと勘違いをしているのでは?」
「む!覚えていませんね。昔、小さな町にお父様と視察に行った時に私だけ皆とはぐれちゃって、というかこっそり逃げ出して、そこら辺を歩いてたの。そしたら暗殺を企ててた一派に殺されそうになったのよ。その時、あなたに助けてもらいました。ほら、帽子を被った女の子です」
深海にあるような深い記憶を何とか呼び起こそうとするが、ファザという名前の老人に拾われるまでは、各地をひたすら彷徨い続けたツゥーサにとって、トラブルは日常茶飯事だったので、どれがどれだか全く思い出せなかった。
「……」
「……ハア。もういいです。思い出せないのね。まあいいわ。その代わりというわけじゃないけど、態度を改めてください。友達のように接するの! 返事は?」
「はあ、承知しま…分かった」
「うん、ぎこちないけどそれでいいわ。で、話は変わるけど、今日なぜここに呼ばれたのか分かりますか?」
「……配属のことか? だけどなぜ俺だけ呼ばれた? まさかガーディアン・フェリームに配属になるのか」
「惜しい! けど、違います。そうね、何から話すべきかしら?」
そう言いながら、ラギはツゥーサの周りをぐるぐると歩き始めた。
先ほどからペースを乱されっぱなしだったツゥーサは、やっとラギの姿をしっかりと観察することができた。
容姿は一言で言えば、冗談のように整い過ぎていた。ツゥーサの足元にある赤いカーペットの素晴らしさは高級品に見合うものだったが、それすらもくすんで見えるほどの長く美しい紅い髪。切れ長の目に人の魂を吸い取るかのような金の瞳。背は女性にしてはやや高い方で、出るところは出て、引っ込むべきところはきちんと引っ込んでいる文句のつけようのないスタイル。
あまり女性の容姿にとやかく言わないツゥーサでさえも、意識せざるを得ないその姿は、どこか深夜に浮かぶ月を連想させる。
「あのね。実は私の直属部隊は、表向きはガーディアン・フェリームのみということになっているけど、実際はシャドウ・フェリームという名前の部隊もいるんです」
「シャドウ・フェリーム? 一体何をする部隊なんだ」
ぐるぐると歩き回っていたラギが、ツゥーサの正面で唐突に止まり、ピタリと視線を向けてきた。
「武具収集よ。それもただの武具じゃない。伝説の武具を集めるのが任務です」
「伝説の? それはどういう」
「幼い頃誰もが耳にする英雄譚。それらの物語には人知を超えたレアアイテムが登場します。要はそれを集めて欲しいの」
ツゥーサはまたも混乱した。伝説の武具など、それこそ夢物語。そんなものが実在しているのであれば、今頃とっくに戦争は終わっているはずだからだ。
「なーに? その顔、信じてないでしょう? まあ、予想通りだけどね。ついてきて、証拠を見せます」
ラギは部屋の中央に設置されている大きな椅子の後ろから細身の剣を取り出すと、それを腰に差して女王の間を出た。
目的地は屋上。廊下の端にある階段を上りながらラギはツゥーサにシャドウ・フェリームについての説明をする。
「シャドウ・フェリームの隊員は他の部隊の隊員とは違って、階級は存在しません。それぞれの隊員は独自の行動権を持っているから、他の部隊の兵士よりも自由に行動が可能です。といっても、武具収集に関することのみに権限があるだけですし、私の命令には絶対に従ってもらいます」
「なるほど。じゃあ戦場に行って戦うような部隊ではないのか」
「うーんそうとも言えないわ。状況によっては戦場で戦ってもらう場合もあります。それに、武具の収集と言っても安全ではありません。危険な地域に行ってもらうことも多いですし、基本的には二人一組で動いてもらうことになります。相棒以外の助けを得られない状況も多いでしょうし、はっきり言って危険度は他の部隊より高いと言えるでしょうね」
「そうか。まあそれは構わない。でもどうしてそんな部隊を設立したんだ?」
「それは……あ、着いたようですね。う、うん? あれ、このドア立て付け悪いわね? あ……ありがとう」
屋上に続くドアを開けるのに苦労しているラギを手助けしたツゥーサは先を促した。
「それで、さっきの話の続きは? そしてなぜこんな場所に連れてきた?」
「さっきから質問ばっかりですね。落ち着いてちゃんと教えるから」
屋上に出ると、外は陽が落ち、暗くなっていた。夜風は少し肌寒く、屋上の静けさをより二人に感じさせた。
「さて、今起こっている戦争の状況をどこまで把握しているかしら?」
兵士と言っても新兵として訓練ばかりの日々を過ごしてきたため、軍に所属していながらもそれほど詳しい情報をツゥーサは把握していなかった。
「さあ? あまり詳しくは・・・大国エルマと新鋭国イマーション、そして連合国ヒューラと戦いになっていて、特にエルマとイマーションとは大規模な戦闘が続いていると聞いている」
「まあ、知らないのは無理もありません。新兵は国のことよりもまずは兵士としての力を身につけてもらうために厳しい訓練だけに集中させるように指示しているから。といってもあなたの説明も大まかには合っているわ。ただ、状況はもっと緊迫しているの」
一度言葉を切り、強く吹いた夜風が通り過ぎるのを待ってからゆっくりとした口調でラギは続きを話し始めた。
「エルマの民は魔法の力を使え、イマーションの民はマシンの開発を得意とする。そしてヒューラは昔から共存してきたドラゴンとの絆があります。でも、私達の国フェリームは、身体能力が優れた者が多く、世界一の人口を誇るという点を除けば、はっきり言えば、他の国に戦闘能力の面で劣っているの。それにお父様が起こした革命による混乱は表立ってないだけで続いているわ。正直な話一枚岩とは言い難い。何とか私が抑えているだけで、古い王家や貴族の者達は虎視眈々と革命の機会をうかがっているの。だから……」
ツゥーサの瞳を真っすぐに見つめたラギは、強い意志を込めた言葉をその美しい口から紡ぐ。
「だから、必要なの。伝説の武具が! 戦争に勝ち、一刻も早く国内の混乱を鎮め、平等な世界を創っていくためにも、圧倒的な力を持つ切り札を集めなくてはならないの」
大国の主導者としての覚悟……その一端を金の瞳と熱意ある言葉からツゥーサは読み取った気がした。
「その切り札というのが伝説の武具で、シャドウ・フェリームはその為に必要となったというわけか。理屈は分かった。じゃあ、伝説の武具があるというその証拠を見せてくれるか」
「ええ」
カツカツと音を鳴らしながらツゥーサから数歩離れたラギは、腰に差した細身の剣を抜き放ち、気合の声とともに鋭く突きを繰り出す。その瞬間に、剣先から紅蓮の炎がうねりを伴なって大海原のように広範囲に放たれた。
「ッ……」
離れていても肌にはっきりと感じる熱。暗闇を弾き飛ばしたかのような鮮烈な炎。その光景に圧倒されて、ツゥーサは上手く言葉を発することができなかった。
時間にすれば数秒の出来事だったが、そのわずかな時間で屋上の至る所が熱で溶け、先ほどまでの肌寒さを全く感じさせないほど灼熱の場所となってしまった。
「……やり過ぎてしまいました。まあいいか。明日石工を呼んで修理してもらいましょう。それよりどうです?凄いでしょうこの剣」
ラギは手に持った剣をよく見える位置で掲げ、ツゥーサは食い入るように眺めた。柄や剣身には、鮮やかな不死鳥の羽をモチーフとした装飾が施され、全体的に赤い色で統一されている。
「この剣は確か王家に代々伝わる宝剣じゃなかったか?」
「ええ、そうよ。お父様が前の王家から奪い取った王家の証です。あの連中はこれをただの宝剣としか見ていなかったけど、少し前にね、偶然私がこの剣の力を引き出したの。その時に確信しました。伝説の武具は実在することを」
ツゥーサは興奮を隠しきれなかった。このような武具が他にもあるならば戦争を早く終結させるのも夢ではないからだ。
「伝説の武具はこの他にも見つかっているのか?」
「ええ、すでに三つ。シャドウ・フェリームの隊員が見つけています。けれどまだまだ数が足りないわ。もう分かっていると思うけど、あなたには特別な任務を言い渡します。武具を収集してください。それもただの武具じゃない。伝説の武具です。残念ですが、拒否権はありません。あなたにはこれからシャドウ・フェリームの一員として活躍してもらうことになります。けれど、覚悟は聞いておきたい。どうなの? やる気はあるかしら?」
その問いにツゥーサは迷いなく答えた。
「ああ、もちろんだ。俺の力が少しでも役立つというのなら、やってやるさ。むしろこちらからお願いしたいくらいだ」
熱意ある言葉にラギはすぐには返事をせずに、黙りこんだ……かと思うと突然大きな声を出して笑った。
「な、何がおかしい」
「ご、ごめんなさい。あなたってクールな人だと思ってたけど、根は熱血漢なんですね。少しだけあなたを理解できました」
お腹を抱えて笑うラギにムッとした視線を向けたツゥーサは、お返しとばかりに少し意地悪なセリフを吐いた。
「ラギこそ女王様のクセにあんまり女王様っぽくないな」
ピタリと動きを止めたラギは、切れ長の目を目一杯見開き、驚いた表情を浮かべた。
「す、すいません。いくら何でも馴れ馴れしかったですね」
「う、ううん。嬉しいです。名前で呼んでくれた……」
顔を真っ赤にしながら心の底から嬉しそうな笑みを浮かべたラギに、思わずドキッとしたツゥーサは顔を横に向けて黙りこんだ。
(どうにもこの女王様の前だとペースが狂いっぱなしだ)
息を吸って、ゆっくりと細く吐いたツゥーサが上を向くと、夜空には数多の星が眩い光を雨のように降らせていた。
2019年03月18日
web小説(ファンタジー)ピースロードは果てしなく~第一章 秘密の部隊へ①~
その中で三十人の若い兵士たちが滝の汗を流しながら、教官の怒鳴り声だけを聞きつつ、懸命に走っている。
「おら、お前らはクソだ。なんだその走りは? 近所を走り回っているガキの方が速いな」
【はい、すいません】
「あ~? 聞こえんな?」
【はい、すいませんでした】
「ハア? 謝るくらいだったら、もっと気合い入れて走れ。これ以上ちんたら走るならケツを蹴っ飛ばすぞ」
【は!】
この光景は当人達にとってはいつも通りであり、特にキツイだとか辛いだとか愚痴をこぼす兵士は誰もいない。
それどころか、もうすぐこういった事も終わりだと知っているので、中には名残惜しく感じる者もいるくらいだ。
今日行われている最後の訓練が終われば、後は皆それぞれの配属先に行く事になる。
ちょうど二カ月前に大規模な戦争が始まった事で、今やどこの配属先も人手を欲している状態。
自分はどこの部隊に配属となり、戦に行くのだろうかと、皆夜も眠れないほど緊張していた。
そのような中でただ一人、太々しい表情を浮かべながら走っているツゥーサは数日前に十八歳になったばかりの男で、同期の中では優秀な兵士として一目置かれていた。
背は平均よりやや高く、兵士らしく引き締まった体をしているツゥーサはこの国では珍しく黒髪・黒目が特徴的で、狼のような印象を感じさせる美男子……なのだが、その一方でぶっきら棒な態度のせいで、周りからやや浮いているのが、玉に瑕である。
現に今も「ツゥーサ。隊列を乱すな。皆と一緒に走れ」
「うるさいな。今日で終わりなんだ。大目に見てくれないか?」
「ツーゥーサー!」の有馬様だ。
教官もはじめは様々な罰を与えてどうにか態度を改めさせようとしたが、上手くいかず結局音を上げてしまったのだ。
だが、そんな光景にも終わりは訪れる。
訓練が終了し、お風呂に入った後は、教官が次の配属先を告げに来るまで自室で待機と命じられたツゥーサは、石のレンガで覆われたボロボロの部屋に同期三人と一緒に体を休めていた。
「はあ~あ、俺どこに配属かな?」
「お前? 決まってんだろ。体力しか取り柄がないから、最前列で戦う部隊に配属だろうよ」
「なんだと。お前こそ手先が器用なだけが取り柄なんだから、後方部隊だろうが? 後方部隊って楽だってイメージがあるかもだけど、違うぜ。すげーこき使われる上に、敵が物資を奪いに来ることもあるから、結構戦闘も多いんだってよ」
「まあまあ二人とも落ち着いて。ね、ねえツゥーサ君はどこの配属になると思う?」
その一言を聞いた同期たちは皆一様に黙りこみ、ツゥーサの返事を待つ。
今まで誰も訊ねなかったが、気になっていたのだろう。
そんな周囲の期待をよそにすっと視線を向けたツゥーサはポツリと一言。
「さあ?」とだけ返す。
がっかりとした様子で肩を落とす三人の同期達はやがてハハハと笑い声を上げた。
「なぜ笑う?」
「い、いいや悪い。ツゥーサのその素っ気ない返事も聞けなくなると思うと名残惜しくてさ」
「聞けなくなる? 同じ部隊に配属になるかもしれないだろう」
「それはないよツゥーサ君。君はきっと女王直属の部隊か大将軍の部隊、そのどれかに配属になると思うよ」
女王直属部隊〈ガーディアン・フェリーム〉
そして三人の大将軍が率いている三つの部隊は、フェリームが誇るエリート部隊として名を馳せていた。
「買いかぶり過ぎだ。俺はそんなに優秀じゃないさ」
「そうかな~?お!」
ドンドンとドアを乱暴に叩く音の後に、教官がドスドスと分厚い筋肉で覆われた体を重そうに動かしながら部屋に入り、ジロリと全員を睨みつけた。
「お前ら。揃っているな? では、早速だが、配属先を告げる」
ごくりと誰かが唾を飲み込む音が聞こえ、部屋は水を打ったように静まり返る。
「では、まずオレールは・・・」
同期達三人は配属先を言われて声には出さなかったが、嬉しそうな者もいれば残念そうな者、何とも言えない表情を浮かべる者など、それぞれが違った反応をした。
だが……ツゥーサだけは配属先を言われなかった。
「ツゥーサ。お前の配属先についてだが、俺の口からは話せん。今から直接女王陛下のところに連れて行くから、そこで聞くと良い。ではお前ら、配属先でも頑張れよ。解散」
教官はくるりと背を向けると、ドアに向かって歩いていく。その後を追ってツゥーサも部屋を後にしようとすると、後ろから声をかけられた。
「ねえ、ツゥーサ君。お互い頑張ろうね」
「まあ、お前はどこに行っても大丈夫だろうがな」
「へ、違いねえお前に比べりゃーな」
そんな言葉を言われるとは思っていなかったツゥーサは、口元に少しだけ笑みを浮かべながら、体を動かさず、首だけを動かして後ろを見た。
「ああ、お前達も達者でな。運が良ければ、またどこかで会おう」
その言葉を聞いた三人の同期達は、今度はバラバラの表情ではなく、皆泣きそうな顔をしながら、ニヤリと笑った。
「バカ野郎、去り際に今まで言った事がないセリフを言うな。ビックリするだろうが!」
同期達の声を背に受けながら、スタスタと歩き、廊下に出ると教官がツゥーサを見て肩をポンと叩いた。
「お前は愛想が全くないクセに、不思議と同期達には尊敬されているな。フ、あれだな。良き同期達に恵まれた」
「ああ」
一年もの間、共に同期達と過ごした部屋を後にしたツゥーサは、この城の最上階に位置する女王の間に向けて歩を進めた。
女王の間は元々、王の間として呼ばれており、その名にふさわしく、豪奢な装飾と建国から千年の間に培われた独自のデザインが見る者を圧倒し、また感動へと誘う場所と言われている。
しかし、現女王であるラギの先代、ユーグ・ヴィレット・1世が革命を起こし、腐敗した王家を処刑、後に王位をラギが継いでからと言うもの、徐々に高価な装飾品は置かないようになっている。なんでも、「王の威厳とは高価な物で演出するものではありません」とのこと。
とはいえ、下っ端の兵士が足を踏み入れる場所ではないので、なぜわざわざ呼ばれたのだろうか? とツゥーサは廊下を歩きながらあれやこれやと考えてみたが、結局満足のいく答えが得られなかった。
ただ、確かなことはツゥーサが兵士になるきっかけになった女性が、直々に会ったくれるという事実のみ。普段はちょっとやそっとの出来事じゃ動じないツゥーサも、今回ばかりは緊張を隠せなかった。
「着いたぞ。それじゃ俺はここまでだ。後は自分で行け」
教官の言葉にハッとしたツゥーサは辺りを見渡す。
ここは女王の間に続く階段の入り口だ。
二人の兵士が厳しい表情で立っており、その間を挟む形で木製の大きな扉が来る者を拒むように固く閉じられていた。
「さすがに女王陛下に無礼な口は利くなよ。ではな達者で。お前の活躍を楽しみにしている」
ツゥーサに負けず劣らずの不愛想な表情だったが、肩をポンと叩いた後、くるりと背を向けて歩いていく姿は、どこか寂し気で、また同時にどこか誇らしげだった。
「さて、と」
教官の姿を見えなくなるまで見届けたツゥーサは、緊張を紛らわせるために、扉に描かれている不死鳥と杖を手に持った女性の絵を眺めた。
不死鳥はこの国の象徴を表しており、昔から鎧や剣の柄にも描かれていることが多い。だが、この杖を持った女性の正体は一切が不明であり、今なお学者たちの頭を悩ませている。
美しくてどこか懐かしさを感じさせる女性の絵を見ていると、不思議と落ち着いてきたツゥーサは意を決して、扉の前にいる右側の兵に声をかけた。
「ツゥーサ二等兵。女王陛下に呼ばれ参上した」
「ウム。話は聞いている。通れ」
二人の兵士が扉を開けると、ツゥーサの目に大理石の壁と床で覆われた場所が映った。
続き→http://unndouhazimeyou.livedoor.blog/archives/17016194.html
2019年03月17日
web小説の公開をはじめました
ここで公開する小説は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスには投稿してないものです。
第一弾は、「ピースロードは果てしなく」という王道ファンタジー小説です。
過去にライトノベルの賞に応募して、一次落ちした作品なんですよ(笑)。
このまま眠らせておくのは勿体ない気がしたので、ブログでね紹介しようかなと。
表現がくどかったり、内容が物足りなかったりなど、読み返すと反省点がたくさん見つかる作品なんですが、あえて手直しせずに公開しようと思います。
興味が湧いたら、読んでみてください。では!
web小説(ファンタジー)ピースロードは果てしなく~プロローグ~
プロローグ
”人は醜くて、野蛮。争うことこそが本能かもしれません。けれども、同時に人は本能を律する力“理性”があります。この力を持っている限り、人は戦いのない世界を創っていけます。”
今でも昨日聞いたばかりのように耳に残るこの声。
それは俺が住む国フェリームの若き女王ラギ・ヴィレット・2世が、民衆の前で力強く語った演説の言葉だ。
この世界は争いに溢れている。誰かが泣き、誰かが傷つき、そして誰かが残酷な笑みを浮かべている。
幼い頃に戦争で家族を亡くしてからというもの、各地を転々としてきた俺はそんなどうしようもないほど悲しくて、またどうしようもないくらい変わらない現実を吐き気がするほど見てきた。
だが、ラギ・ヴィレット・2世は言った。人には戦いのない世界を創れる可能性があると。今の時代に生きる国の代表が甘っちょろいことを言ったのだ。本気で……。
だったら俺はこの夢物語にかけてみようと思った。
辛い時代に甘い戯言をいうこの人の掲げる理想が現実になるように。少しでもその助けとなれるように、俺は兵士として生きる道を選択した。
兵士は戦の世ではいくらいても足りない存在だ。志願すればロクな審査をせずにすぐに入隊できた。
新兵訓練は身を傷だらけにし、心をこれでもかとボロボロに疲弊させたが、平和な世が来るならばと思えば、乗り超えることができた。
そして、兵士となってから一年が経過しようとした頃。
世界各国の国々を巻き込んだ過去最大規模の戦が始まった。
ここ数年は小競り合い程度の紛争があっただけで、比較的まだ平和な状態が続いていた矢先の戦争。
また再び、誰かが傷つく争いが始まるのだ。ならば立ち上がらなければならない。戦いを一刻も早く終えるためにも、できることをする。
俺は恐怖よりも「戦ってやる」という闘争心に満ち溢れていた。
――けれど、まさかこんな任務を任されるようになるとは夢にも思わなかった。
突き抜けるほどの青空と眩いばかりの太陽、塩のにおいを含んだ風を身に感じた遠い記憶に残る小さな港町であの日、目の前で演説をしていたラギ・ヴィレット・2世。そんな彼女が兵士になった俺を呼びつけ、唐突に「伝説の武具を集めてください」と命じた。
伝説の武具……幼い頃誰しもが一度は耳にしたおとぎ話に登場する武具のことだろうか?
俺は戸惑う一方で、胸にじんわりと熱い感情が宿っていくのを感じた……
続き→http://unndouhazimeyou.livedoor.blog/archives/16982288.html
2019年03月03日
小説家になろう・アルファポリス・カクヨム! 各サイトの使用感ってどんな?
これからご自身の小説を投稿したい! と考えたが、どこのサイトに投稿するかで悩む方もいるでしょう。
僕もめちゃくちゃ悩みました。沢山ありますし、全部のサイトに投稿するわけにはいかない。じゃ、どこに?ってな感じで。
この記事では、僕が各サイトを使って感じたことをお話しますので、ぜひ参考にしてください。
◇メリット1:読まれやすい
このサイトの良いところは、読まれやすいこと。小説を投稿すれば、それなりの数の方が読んでくださいます。 ただ、このサイトはニーズが偏っている印象があります。
小説家になろうに投稿した作品は、アクセス解析機能でPV数がすぐに把握できます。自分の小説がどれくらいの人に読まれているか分かると、ワクワクしますよね。
個人的に、他の2サイトに比べると少々投稿周りの操作がしにくいように感じます。しにくいといっても、わずかな差ですので気にしないでいいでしょう。ただ慣れるまで時間がかかるかもです。
◇投稿インセンティブ制度がすごい
プロ小説家というと小説を出版して、印税でしっかりとお金を稼いでいる方って印象があるかもしれません。
じゃあ、アマではお金は稼げない。というと、そうではありません。いくつか方法があり、投稿インセンティブ制度もその一つです。 簡単に制度を説明すると、アルファポリスに投稿した小説が読まれるとポイントが入り、ギフト券やアルファコイン、現金などに交換できます。
通常だと、出版するには賞に受賞されるか、スカウトされるか、自費出版するしかありません。 しかーし、アルファポリスは出版申請が可能です。出版申請するには、24h.ポイント(アルファポリスの独自ポイント)が1500pt超える必要があるのがネックですが、夢のある制度です。
何人に読まれたのかが分かりにくいです。アクセス解析がないですし、読んでくれた方の人数が表示されるわけでないので、ちょっとそこが難点でした。ただ、読まれた時に表示されるポイントである程度は把握できます。
◇メリット1:作家同士で交流しやすい
このサイトは、作家同士で交流するような体制が整ってます。ですので、作家同士でも交流したいなって方には最適でしょう。
カクヨムは、二次創作ができるサイトです。僕はオリジナル作品しか投稿しないので、具体的な話はできませんが、二次創作したい方には嬉しいですよね。
カクヨムは作家さんが多い印象があります。だからなのか分かりませんが、とにかく読まれにくいです。
いかがだったでしょうか。あくまで僕個人が思ったことですので、実際にご自身で使うと違った印象を感じるかもしれませんね。